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さきほど、久しぶりに1階の2列目で観てきました。以前はよく最前列で観ていたのですが、節約モードになってから、こんなに前で観るのははじめてです。しかし、よけいなアラが見えすぎるのはイヤですね。ただ、「狐忠信」が静に斬りかかられて、手を出して止めるところ、まずは狐手を出し、ゆっくり親指から開いていくなんて、今日はじめて知りました。前の方で観ていたからこそ、気づいた細かい動きですね。 さっそく感想です。 『馬盥の光秀』・・・松緑さんの光秀と海老蔵さんの春永、松也くんが妹桔梗、芝雀さんが妻皐月で、橘太郎さんが森蘭丸です。残念ながら松緑さんの光秀、顔の小ささがここまで弱点になるとはおもいませんでした。あまりになんだかこぢんまりした光秀で、天下を覆す大悪人には見えません。紫の上下も映えません。全体としてはきわめて的確な表現で、光秀の無念さをわからせてはくれるのですが、姿、形からくる迫力が感じられないのです。これは持って生まれたものですので、どうすることもできないのでしょうが、顔の小ささをカバーできる何かが必要になっているのでしょう。 一方の海老蔵さんは、どこかイライラした春永をうまく表現していました。ただ前過ぎて口ひげが書きものなのが気になります。 あと最近の傾向なのですが、見得をする前に、気を入れるため声を出す人が多くなっていますが(今回の松緑さんなどは顕著です)、一昔前は行儀が良くないといわれていたはずです。猿之助さんにもその傾向が強く気になりましたが、最近はあまりにひどすぎるようにおもわれます。 『船弁慶』・・・菊之助さんの二役。意外に前シテの静が見た目、よくありません。化粧のせいなのか、半眼にした顔がソンなのか、耳を隠した鬘姿が似合わないのか(これは、似合った人を見た記憶がありませんが)、全然きれいじゃありませんでした。それに菊之助さんも案外小顔なんですね。衣装に負けているようにみえました。 逆に後シテの知盛の霊の方が、迫力十分で好感がもてました。残念ながら踊りの巧拙はいまだにわかりません。弁慶が團蔵さんで、やはり若手の中にはいると貫禄十分。義経は梅枝くん、こうした役はきれいですね。まだ能がかりの調子におかしなところがあるようにおもえましたが、いい女形に成長してくれそうです。舟人に松也くんと萬太郎くん。萬太郎くんはお兄さんと違って、ちょっとひょうきんな顔つきです。意外に立役でも活躍できるのではないでしょうか。舟長の亀蔵さんと二人の足の動きが違うのが気になりました。 さいごの引っ込み、知盛の霊が花道で無念の形相でいったん揚幕に向かうところで、一斉に拍手がおこりました。ここは観客はグッと息を詰めて、演者の動きを注視するところです。そのまま引っ込むと思ったのでしょうが、そこで拍手をされてはしらけます。ほんとうに舞台の流れを知らない客が増えてきましたね。その割に、手だけは人一倍叩く。客の質の低下が、役者の質の低下につながらないことを祈るばかりです。 『義経千本桜 川連法眼館』・・・今回は海老蔵さんが猿之助型の忠信を演じます。先月のスポーツ紙に海老蔵さんを指導する猿之助さんの写真が掲載されて嬉しかったです。ずいぶんお元気そうでした。 まずは本物の忠信としての出、おもったほど良くなかったのは何故でしょう。近くで見たせいでしょうか。目を閉じた横顔がおじいさんの十一代目團十郎にそっくりなのには、驚かされました。あと、狐が化けた忠信と間違えられて、不審におもうところ、目をパチパチやりすぎるのは気になります。 静は笑三郎さん、今月はこれだけなのでしょうか。義経が段治郎さんで、猿之助一門が脇を固めているのは嬉しいことです。師匠と海老蔵さんの違いをどのように見ているのでしょか、気になるところです。 狐になって、声がずいぶん可愛くなるのは、ご愛敬。子狐を強調しているのでしょうが、ちょっとやり過ぎのようにもおもわれます。加減が難しいところだとはおもいますが・・・。 ケレンわざはもちろん猿之助さん通り。若い分動きが俊敏です。ただ天井から鉄棒を握って降りてくるところ、セットの後は滑り台のようになってなっており、頭から突っ込んでいくのですが、なぜかドタンバタンとぶつかる音がしてセットが揺れていました。あと、地面から三段の上までジャンプしたのには仰天。一メートル以上はあるはずです。立ち高飛びであの高さまで飛び上がるのは、ものすごい運動神経ですね。 初音の鼓をもらって喜ぶところ、ちょっと鼓の扱いが乱暴におもえました。喜び表現ではあるのでしょうが、いちおう父と母です。もうすこし優しく扱った方がよいのではないでしょうか。 さいごの化かされ、わたしがもっとも好きなところですが、猿之助さんの型では、ここの迫力が違います。役者さんは大変でしょうが、あの立ち回りがあってこそ、気分良く宙乗りが楽しめます。千秋楽までがんばってくださいね。宙乗りはもう、悪のりといってよいほどのはしゃぎよう。まあ、目くじらを立てることではないのでしょう。 全体に活気があって、明るくおもしろい『狐忠信』だったようにおもいます。 きょうのお弁当・・・『天一』(銀座三越)の天丼弁当 |
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